オリジナルなホバークラフトの開発に向けて、(株)リバネス社とロールス・ロイス社、BAE Systems社から指導と支援を受けられる「Rolls-Royce and BAE Systems サイエンスキャンプ2024」に、本校科学部1年生が参加しました。参加した生徒は、リーダーのE1岡樹希さん、副リーダーのD1飯田晴生さん、回路担当D1山田陽登さん、メカニック担当M1向﨑大碧さん、摩擦軽減担当C1香西海斗さんの5人です。チーム名は、岡山県と言えば果物が有名ということでチーム・フルーツOKAYAMAに決め、各自が所属する専門科の特性に合わせて、ホバークラフト開発に取り組みました。開発のコンセプトは、”Simple is the best!” 原理・機構がシンプルで、仕組みが分かりやすいホバークラフトにしようと、開発のスタートとなる、5月24日のキックオフイベントから、6月22日の予選会まで、まずは、軽くてシンプルなホバークラフトの開発に取り組みました。
- メンバー紹介です
- 開発コンセプトの紹介です
予選会はオンラインで行われ、開発についてのプレゼンテーション部門と、ホバークラフトに搭載するおもりの重さと5分間の走行距離による仕事量、走行の前後での電圧降下から求めた電力消費量で決まる走行性能部門によって順位が決定されました。倉工チーム・フルーツOKAYAMAは、審査員の方がサイエンスキャンプ史上初めて見たという、浮上用と走行用ファンを共用し、一つのモーターで回転させる、とてもシンプルなホバークラフトの開発に成功し、プレゼンテーション部門第2位、走行性能部門第3位、総合成績第3位となり、優秀賞を受賞するとともに、決勝大会への出場権を獲得しました。
- 予選用に開発した浮上用と推進用のファンを共用したホバークラフトです
- 予選会では3mのコースを手動で往復させ、走行性能を競いました
決勝大会は、8月21日、22日の2日間、岐阜県立岐阜高等学校、川崎重工岐阜工場、航空自衛隊岐阜基地を会場に開催され、予選会を勝ち抜いた、本校と札幌南高校、土浦第三高校、会場校である岐阜高校の4校が出場しました。決勝大会では、開発に関するプレゼンテーションと、おもりを載せて3mの直線コースを自動制御で往復するときの仕事量や電力消費量で競う走行性能とで順位が決定されました。本校以外はマイコンを搭載し、プログラミングによって往復の制御を行うホバークラフトを開発してきていましたが、本校は唯一、マイコンやプログラムを用いずに、磁場の有無でON/OFFの切り替えを行うリードスイッチを使用して、単純な機構でコースを自動往復するホバークラフトで決勝大会に臨みました。リードスイッチの不調や直進安定性の低さから、前日夜遅く、そして当日も本番直前まで調整を重ねました。その甲斐もあって、本番ではコースを何度も往復し、走行性能の部門で第3位の成績を収めることができました。走行後に行われた技術交流会では、機構のシンプルさに注目が集まり、チーム・フルーツOKAYAMAのメンバーは、審査員の方や他校の出場者と熱心に情報交換を行いました。
- 決勝大会用に開発した自動往復運転を行うホバークラフトです
- 本番に向けて準備と調整中です
- 倉敷工業高校のことを参加者に伝えるご当地プレゼンです
- 開発のコンセプトや経緯についてのプレゼンです
- 決勝大会本番での走行です
- 表彰式後の記念撮影です
その後は、川崎重工岐阜工場と航空自衛隊岐阜基地に移動し、エンジニアを目指す高校生のためにと題して、工場や基地内の施設の見学、滑走路脇で離陸する練習機の見学などを行い、エンジニアリングに対する興味関心を高めることができました。
- 川崎重工の玄関横に展示されているブルーインパルスのT4の前での参加者による記念撮影です
- これから工場見学に向かいます
- 航空自衛隊岐阜基地内にある広報館(かつての岐阜基地本部)で、基地内の食堂での昼食後、見学しました
- 広報館内にある、かつての岐阜基地の司令席です
- ハンガーの中にあるF-2Aの機体細部やコックピットを見学させてもらいました
- 訓練で離陸するT4を、ワクワクしながら滑走路脇で見学させてもらいました
今回、幸いにも本校1年生が決勝大会まで参加でき、日ごろの学習活動とは異なる環境の中で、エンジニアリングをテーマとした貴重な体験を積めたことに感謝しています。帰路の新幹線の中で、チーム・フルーツOKAYAMAのメンバーは、「来年もぜひ参加したい!」と強い意欲を抱き、そのために今後の学校生活で何をしなければいけないのか、メンバー同士で真剣に議論を交わしていました。