スーパーエンバイロメントハイスクール」カテゴリーアーカイブ

スケールアップの課題

前回に引き続き温度調整不十分ですが大型装置による糖化反応を行いました。今回も思ったような結果が得られませんでしたが、原料の前処理をしたものを乾燥させた場合、ボリュームが全く違っており、単純に湿り状態で使用した原料が計算した準備量より大幅に少なかった可能性が考えられます。


とはいえ、原料を増やそうにも解繊作業も思うように進まないため、新たな原料を確保するまでは次の実験が出来なくなってしまいました。今後機械科の先生のアドバイスを再度いただいて、どの様にすれば効率良く解繊作業が進むか考えていこうと思います。

前回作製した糖化反応液を発酵したものについては、一応アルコール臭は確認できていますが、GCによる分析結果は上手く出なかったため、次回再度確認をしていきたいと思います。

量産に向けて

温度調整が効かない状態で大型装置による初めての長期間糖化反応を終えました。残念ながら装置完成直後のように原料が溶けてはおらず、糖度の上昇率もビーカースケールの時の半分以下でした。


定量的なデータの収集は難しいですが、今後の流れを固めていく上でも各工程を経験しておく方が良いと考え、解繊、前処理、発酵、蒸留、そして反応槽の洗浄と再仕込みに分かれて作業を進めました。機械科と電気科の先生にもお手伝いいただき、空調のない暑い部屋でしたが作業に打ち込み、今後の改善点など気づきの多い時間が過ごせました。

中和後の乾燥(昨年度研究で乾燥状態の方が反応性が高かったのと、正確な質量測定のため)

大型反応装置による実験

制御装置の温度を調整する箇所の修理が完了していないものの、今年度に入って本格的な稼働が一度も出来ていなかったので、完全な温度コントロールは出来ない状態での実験を始めました。温度制御のみビーカースケールの最適化条件に合わせられないものの、他の条件は調整できたので、明日からは放課後に輪番制で原料の追加やデータを調べていこうと思います。他にもスケールアップした実験に対応するよう、アルカリ溶液による前処理や発酵段階の温度調整など分担して取り組みました。

解繊作業と固液分離作業

制御装置の部品に関する質問の返事がなく、反応装置を使った実験ができなかったため、先週に引き続き作業の確認と出来ることを行いました。
今回も機械科の先生に来ていただき、解繊装置について作業の手順や注意など実演を交えて説明いただきました。
しかし、長時間使用するとベルト部分が熱を持つようになり、少しずつベルトが削れたり異音がし始めたのでその部分については修正をお願いしました。
また、固形分回収型ホルダーも使用方法を確認した後、実際に昨年度の残液を用いて作業をしてみましたが、残渣が細かかったためか圧力をかけてもなかなかろ液が回収できず、翌日に再度加圧したところ、ろ紙が破れてしまい失敗に終わりました。このことからホルダーにセットするろ紙を保護するものが必要と考えています。

SEH研究開発事業3年目の開始

新年度が始まり早くも1か月が経ちました。
本校のSEH研究開発事業も最終年度となりましたが今年度は曜日の並びの影響もあり、なかなか課題研究の時間が取れていません。
しかもようやく完成した大型反応装置が年度末に故障したまま修理の目途がたっていないため、現段階では研究が止まってしまっています。
色々な条件が整いませんが出来ることから始めようということで、大型反応装置を想定したシミュレーションや分析機器の使い方などの勉強会を行いました。
併せて機械科の卒業生に製作してもらった解繊装置の説明を、機械科の先生にお願いしました。メインの作業へ早く取り掛かりたいところですが、このような時間も有効にして取り組んで行きたいです。

スーパーエンバイロメントハイスクール電気科進捗状況7+電気部活動報告3月

制御回路の製作は、浪岡製作所様の検査が終わったことを受けて仕上げ段階に入りました。
検査が終わるまでは、大幅な配線の変更があるかも分からないので、電線を固定することができませんでした。そのため、糖化槽と制御回路をつなぐ電線がゴチャゴチャにもつれ、スパゲッティ状態になってしまっていました。
今回の作業は、その電線の整理整頓を行いました。配線が複雑なので、普段から配線に慣れている電気部の生徒が担当しました。部長が現場監督の役割をして、電子機械科の生徒と電気科の生徒で協力して作業を行いました。


昼食をとるのも忘れるほど熱中して作業をしたこともあり、完成したときには充実感がありました。
次回からは、糖化槽の温度などの情報をCromebookに記録するプログラムなどを製作していく予定です。

スーパーエンバイロメントハイスクール電気科進捗状況6

制御回路の製作は検査段階に入り、2月24日から26日の3日間、浪岡製作所様に仕様書通りにできているか、検査をしていただきました。その結果、電気科で製作した部分に、仕様書と異なる動きがありましたので、手直しを行い、一日がかりで最終検査をパスすることができました。

その後、化学反応に適した温度と、かくはん機の回転数などの細かな設定をした後、試験を行いました。
工業化学の先生が、原料の布を綿状にしたものをセットして、糖化して(溶けて)いれば制御回路は設定した温度と回転数を保ち続けたことになり、検査合格&糖化試験成功になります。

実験1度目(25日から26日朝)の結果

残念!綿状の物が残っています

期待した性能がでなかったので、今まで工業化学で行ってきた実験結果踏まえ、原料に前処理を加えたものを使用するようにして再度トライしました。
実験2度目(26日)の結果

綿状にした布が糖化(溶けた)!

無事、糖化実験は成功し、制御回路は化学反応に適した温度と、かくはん機の回転数を一定に保ち続けられることがわかりました。この瞬間、全員思わず笑顔になり、一年近くの苦労が報われました。
コロナウイルス対策のため、生徒は同席できず、この喜びを一緒に分かち合うことはできませんでしたが、ものづくりの醍醐味を味わうことができた一日となりました。
最後に、浪岡製作所様におかれましては、長時間にわたり、丁寧な検査とアドバイスをいただきまして、心より感謝を申し上げます。ありがとうございました。

スーパーエンバイロメントハイスクール電気科進捗状況5

製作段階も終盤を迎え、糖化槽の制御装置を設置する時が来ました。高度な技術が必要となる作業ですので、電気科の先生方の専門技術により行いました。


その後、専門業者の方に配線の点検をしていただき、基本的な動作確認を行っていただきました。
プロの高い専門技術は素晴らしく、初めて見る回路にも関わらず、短時間に点検、修正を行っていただきました。
学校では触れることのない装置の制御は、このような専門性の高い方に助言をいただかないと、完成することがむづかしい事を改めて思いました。
心より感謝を申し上げます。

今後は、化学反応に適した温度管理、かくはん機の回転数などの細かな設定を別の業者の方と設定し、完成を目指していきたいと思います。

スーパーエンバイロメントハイスクール電気科進捗状況4

糖化槽とその制御回路と、布を綿状に粉砕するシュレッダーを動かすための電気工事のお手伝いを行いました。校舎に直接触れる部分の工事は、電気工事の専門業者様にお願いして、電気科では、業者様が取り付けてくださった分電盤から、装置までの配線を行いました。おそらく、高校三年間で最後の電気工事となります。その記念すべき日に、プロフェッショナルの技術技能を間近で見ることができ、大変思い出深い経験と勉強ができたと思います。本当にありがとうございました。

なお、主に工事を担当した生徒は、4月より電気工事会社に就職する生徒が担当しました。これなら任せて大丈夫!

今後は、制御関係の業者様による動作試験などがありますが、その部分は後輩に引き継いでいきたいと思います。卒業まで残された時間は少なくなってしまいましたが、最後まで完成を目指して頑張りたいと思います。

 

スーパーエンバイロメントハイスクール研究開発事業講演会

1月15日(金)13:25〜 本校が県教委から指定を受けています「スーパーエンバイロメントハイスクール研究開発事業」の講演会が実施されました。対象は工業化学科1,2年生です。講師の先生は、岡山大学資源植物科学研究所 植物・微生物相互作用グループ 谷 明生 先生から、本校の研究の核心部分に当たる、アルコール生成に関連する細菌の不思議な働き方をわかりやすく説明していただきました。コロナ感染対策として、リモート配信での講演会となりましたが、わかりやすい資料の提示と説明で生徒、教職員とも理解が進み充実した講演会となりました。

現在の糖化の様子

今年の研究内容をまとめる時期に入り、酵素の量、タイミングなど再現性の確認を進めています。考査や学校行事の関係で年内の授業はあと1回しかなく、前回上手く利用できなかったモレキュラーシーブの実験や濃縮方法の検討などやるべきことが残っているのでスムーズに進めていきたいと思います。
初期のころに比べ糖化後の残渣の状態はずいぶん変わり、原形はほとんどない状態になっています。

SEH講演会(滝澤先生)

11月20日にスーパーエンバイロメントハイスクール研究開発事業の共同研究者である岡山理科大学の滝澤昇先生に「微生物はミクロの化学工場」という演題で御講演をいただきました。新型コロナウイルスの影響により今回もオンライン講演会となりました。微生物の分類からその働きに至るまで、具体的な例を示していただきながら難しい内容を分かりやすく説明していただきました。

脱水剤と霧化分離による濃縮結果

糖化~発酵にかけては様々な実験を繰り返してきてある程度の結果は得られるようになってきましたが、出来たアルコールの濃縮に関しては色々と試している段階です。今回は脱水剤としてモレキュラーシーブを用いた後、霧化分離して回収した液を分析してみましたが、結果としてはそのまま霧化分離したサンプルとアルコールの濃度は変わりませんでした。アルコール試薬でも試してみたのですが、モレキュラーシーブの使い方が良くなかったのかこちらも効果が見られませんでした。最終的には蒸留になるかもしれませんが、蒸留に頼らない濃縮方法をもう少し試していきたいと思います。

霧化分離②

先週故障してしまった霧化分離装置を修理していただき、自分たちで作った発酵液を使って再度実験を進めています。
比較対象として単蒸留をし、それぞれから回収した留出液をGCで分析したところ、ほとんど同じ濃度でした。装置を組んだり専門的な技術や知識が不要ということもあり、霧化分離装置にはメリットが多いです。
しかし、簡易ラボ機では回収部分がないためミスト化した気体を工夫して回収しなければならず、色々と試していますがなかなか思うようにはいきません。
全体的な操作の流れが出来てきつつあるだけに、回収部を必要とすると予算的な問題が生じるためどうするか悩んでいます。
研究と並行し、今年度も1月に校内で研究発表の機会があるため、データの整理をおこないながら、発表会に向けた準備も進め始めました。

霧化分離

就職試験に引き続き、中間考査があったため久々の課題研究になりました。今年度の課題の一つでもある発酵液の濃縮について、蒸留に代わる方法がないかと調べてきましたが、今回ナノミストテクノロジーズ株式会社から「霧化分離」という技術を用いた装置をレンタルすることが出来たので早速実験してみました。蒸留による濃縮とは異なり、原料の加熱が不要で電源を入れた直後からミスト化し、濃度を薄めたアルコール試薬を用いた結果ではアルコールの濃縮を確認することは出来ました。しかし、端切れから作製した発酵液の濃縮作業中に電源が入らなくなってしまったため、止む無く実験を中止し、装置を返却することになってしまったのが残念です。得られている結果から今後の方向性についても考えていきたいと思います。
また、長らく中断していた大型装置の方もようやく最終段階に入り、制御盤を取り付ける部分を機械科に溶接してもらったので、自分たちの手で再度色を塗り直しました。

SEH講演会(久岡先生)

昨年度に引き続き、今年度もスーパーエンバイロメントハイスクール研究開発事業で協力いただいている外部の先生方に講演会をお願いしています。10月30日にフジワラテクノアート株式会社の久岡様に「固体培養の産業化」という演題で御講演をいただきました。本来であれば学校にお招きして実施する予定でしたが、新型コロナウイルスの影響によりオンライン講演会となりました。慣れない形式ではありましたが、プレゼン資料を用いて会社で取り組まれている内容や、専門的な技術を分かりやすくお話しいただき良い勉強になりました。

アルカリ処理作業と個々の成長

多くの就職希望者が10月16日から試験を受験しますが、その中でも現在の計画通り作業を進める一日でした。導入予定装置での実験を想定し、量産体制に入った作業を続けましたが、途中でアルカリ処理済みの原料が切れる事態になりました。しかし、すぐさま分担を再編し、予定を変更した実験をするなど柔軟な対応が出来るようになったり、使用後の実習室を進んで片付けに参加するなど彼らの成長が見られた一日になりました。就職試験の結果も良いものになるよう願っています。

次なるステップへ向けて

現在糖分やアルコールの濃縮をおこなうための装置を導入するにあたり、本校の研究していることに対して実際に利用できるかどうかの確認をするため、装置をレンタルする計画をしています。限られた予算を有効に使うためにも、装置を借りている間に出来るだけ多くの実験データを取りその有効性を確認するため、前回の実験結果で最も糖化率の高い条件により糖液を量産し、アルコール溶液も可能な限り量産する体制で研究を進めました。
ちなみにアルカリ処理した原料は何もしていない原料からの糖化率に比べ20%も高い数値が出た上、更なる原料の追加が出来る可能性が見られたため、本格的に作業工程へ組み入れる検討も必要であると考えています。

施設見学と糖化率

昨年度からの研究で端切れからのアルコール製作をしていく際の糖化や発酵については、少しずつではありますが出来る量を増やしてきています。
しかし、実用的な濃度に高めるためには蒸留を始めとする手段を用いる必要があります。現在その方法について省エネで出来る方法について検討していて取り入れたいと思う方法があるのですが、9月30日にその仕組みを導入されている豊和株式会社玉野工場を訪問させていただきました。
対応してくださった田代会長と前田工場長が本校の取り組みに興味を持ってくださり、色々なお話を聞かせてもらうだけでなく実際の装置も見せてくださり大変有意義な時間になりました。
また、先週アルカリ処理済み原料を用いた実験をようやく行えましたが、こちらはこれまでで最も高い糖化率となりました。ここから発酵をおこない最終的なアルコールの変換率がどの程度になるかなど確認していきたいと思います。

スケールアップ実験への挑戦結果

連休前に仕込んだスケールアップ実験でしたが、結論としてはまたしても失敗に終わりました。というのも、ガラス器具で行っていた実験にもかかわらずステンレス製の容器で行ったため熱の伝わり方の違いを考慮できておらず、溶液が普段より高くなり過ぎてしまい、おそらく酵素が失活したと考えられます。単純な部分に気付くことが出来ず、大変残念でした。ただ、ビーカーレベルにおける現段階での最適条件での糖化実験については撹拌が不十分にも関わらず、これまでの糖化条件の中でも最高レベルの糖度を確認できたので、今後につながる結果となりました。

いよいよアルカリ処理済みの原料による糖化実験もスタートしたので、結果が楽しみです。