1月17日にスーパーエンバイロメントハイスクール研究開発事業の共同研究者である株式会社フジワラテクノアートの久岡様に「固体培養の産業利用」という演題で、工業化学科の1・2年生を対象に御講演をいただきました。
微生物や麹菌に関する基礎的内容から、人間生活をより良くしていくための利用方法など分かりやすく丁寧にお話いただきました。
企業ならではの視点も多くあり、気づきの多い、実りある時間を過ごすことができました。
「スーパーエンバイロメントハイスクール」カテゴリーアーカイブ
布用シュレッダーと糖化槽についての視察
今回の研究に関する取り組みをされている企業へ、1月15日~16日にかけて研究代表として教員4名で視察をおこないました。
1社目は静岡県にある株式会社石川総研で、布を解繊する取り組みをされています。
現在本校では酵素の効果を高める可能性があるため、端切れを生徒が手で解繊しています。
しかし、かなりの時間を費やし効率も良くないため、スムーズに行うためのヒントを得るためにお伺いさせていただきました。
装置の説明をしていただいた後、網目の径を3mm~10mmまで段階ごとに郵送していた本校の端切れを解繊していただき、仕組みや仕上がりの状態などについて詳細な説明を受けました。
今回解繊された端切れを、今後糖化予備実験に使用する予定です。
2社目は栃木県にある浪岡製作所で、こちらは圧力容器や基礎実験装置の設計・製造をおこなっている企業です。
現在本校で取り組んでいる研究をスケールアップした形で処理することができる糖化槽の製作を依頼しています。
メインの装置は作製していただきますが、架台及び制御装置に関しては本校の機械科、電気科、電子機械科の先生方を中心に作製するため図面や小型の実物を見ながら詳細な打ち合わせをおこないました。
今回の視察で多くの知見を広げることができたので、これらを活かして引き続き研究へ取り組んでいきたいと思います。
新しい酵素を用いた糖化実験
スケールアップによる実験(結果)
先週から始めたスケールアップしての糖化実験でしたが、残念なことに中身が完全に蒸発してしまいました。
元々床面からコンタミの可能性を減らすために椅子の上で実験装置を組んでいたのですが、結果的にはバランスを崩して倒壊し、中の溶液が無くなってしまったので結果を得ることができませんでした。
すぐにでも再実験に入りたいところですが、期末考査が始まった上に、酵素の残量が尽きてしまい、新しい酵素が到着するまでは休止せざるを得ません。
次回行う際は今回の失敗を活かして取り組もうと思います。
スケールアップによる実験
SEH共同研究者による講演会②
SEH共同研究者による講演会①
スケールアップに向けて準備
ビーカースケールでの実験もようやく条件の絞り込みが出来始めたので、今後導入予定の大型装置による糖化実験のための準備ということで、本校にある機材を組み合わせながらスケールアップした実験が出来るように取り組みました。
糖化実験専用の機材ではないため、回転軸への布の巻き付きや溶液の跳ね飛び、温度調節など懸案事項が多く工夫がいりますが、予備実験の条件に近づけるため考えながら取り組んでいます。
- 組み合わせた装置
- 僅かに溶け残った端切れ
- ほとんど溶けた端切れ
- 考えながら組み立てています
新しい酵素による糖化実験
これまで使用してきた酵素に加えて、ジーンズのダメージ加工などに用いられる酵素を使った実験を繰り返し行いました。その結果、紙原料であるシュレッダーダストに対しては新しく導入した酵素の効果はありませんでしたが、糸の原料に対しては入れた方が糖度が高くなりました。その際の糖度はアルカリ処理をした糸原料より、前処理をしていない糸原料の方が高くなり、紙と同程度まで糖度が高くなりました。
また、横振とうのみよりも回転子による撹拌をした方が酵素の効果が高く、糖度は布<糸で高くなり、この場合は新しい酵素の効果はほとんどなかったです。
今後再現性についてもう少し検討する必要はありますが、条件の絞り込みをかけ、添加量の検討をしたらスケールアップした実験を進めていきたいと思います。
- 反応後溶けた糸原料
- 反応後溶け残った糸原料
排紙と端切れの糖化実験
3年生の就職試験が一段落したころより、本格的にアルカリ溶液による前処理をした原料を利用した糖化の実験を開始しました。しかし前処理をしただけの成果としては思ったほど糖度の上昇につながらないため、振とう速度を上げたり、ホットスターラーを用いた実験をするとともに、排紙を原料にして同一条件による糖度の違いを確認するなど様々な研究を行っています。振とう速度を上げたことによる成果としては明らかに原料の端切れ繊維の状態が違っていましたが、糖度については現段階ではこれまでの実験結果と大きな差は見られませんでした。今後は別の酵素を試したり、原料の前処理を違ったアプローチも考えてみようと思います。
- 実験前の原料の様子
- ホットスターラーの温度制御確認
- 糖化実験後の様子(振とう回数の違い)
- 糖化実験直後の様子
- ホットスターラーの動作確認
- 糖化実験後の糖度・pH測定
原料の前処理(アルカリ処理)②
事前にアルカリ溶液による前処理をした端切れ原料について糖化実験をおこないました。結果としては今回の結果からでは明確な判断はできませんでした。しかし、未処理の原料や高温・高圧条件での前処理済みの原料と比べるとやや高い糖度の値が出ていたので、もう少しハッキリ値の差が出るように酵素の量を調整し、再度確認の実験をおこなっています。
原料の前処理(アルカリ処理)の開始
再度オートクレーブによる前処理済みの繊維を使った糖化実験をおこなった結果、前処理をしない原料のものと比べて1週間後には全て糖度が高くなっていたが、2週間後のデータでは全ての糖度が減少しており、前処理をしない繊維のものと糖度に大きな差が無くなりました。原因はハッキリとは分かりませんが、いずれにしてもこの方法では大きな差は出ない可能性が高いです。そこで新しい取り組みとして共同研究者の方々に教えていただいた情報をもとに、アルカリ性の溶液による前処理を施し、酸性溶液で中和したものを原料にして糖化実験をしてみようと計画しています。これまでの実験は乾燥状態の原料を使った実験をしているので、本日アルカリ性の溶液で前処理した原料を乾かし、近日中に糖化実験を試そうと考えています。
糸状原料のアルカリ処理
布状原料のアルカリ処理
原料の前処理と糖化実験②
前回繊維に対する前処理としてオートクレーブによる高温・高圧処理を布と糸それぞれにおこない、それを原料として糖化実験をしたところ、結果は全て前処理無しのものの方が糖度が高いという結果になりました。この結果が本当に正しいものなのかどうか調べるため、再度前処理をおこなった布と糸に対する糖化実験をおこなっています。
研究にかかわっているメンバーはお盆明けより就職試験に向けた履歴書書きが始まり、来週からは面接練習が始まります。就職試験に向けてSPIや一般常識に対する準備もあり、ますます時間が取りにくくなりますが、共同研究先である岡山大学や株式会社フジワラテクノアートの方に新しく助言をいただけたので参考にさせていただき進めようと思います。
左:布状原料 左:糸状原料
原料の前処理と糖化実験
岡山理科大学の見学の際にいただいたヒントをもとに、繊維に対する前処理としてオートクレーブによる高温・高圧処理を布と糸それぞれにおこない、それを原料として糖化実験を始めました。前処理の条件も2パターン考え、粉末セルロースで得られた良好な培養条件で確認しています。
夏休みに入り、進路決定に向けた活動で思うように時間が取れませんが、隙間の時間を有効に出来る範囲で取り組み、糖化槽の作製へと繋げていきたいです。
共同研究先(岡山理科大学)の見学
7月18日(木)にSEH共同研究先である岡山理科大学の見学をさせていただきました。
初めに全体の説明をしていただいた後、最新の実験設備の見学や、バイオ・応用化学科の取組と研究室の見学をさせていただきました。普段学校で使用している器具や装置に比べ充実した設備に驚嘆したり、今後の研究に関するヒントをいただいたりと良い機会になりました。
また、先週再現性について実験した結果も本日まずますの結果が得られましたので、今後は更に好条件となる糖化方法を考えていきたいと思います。
試薬セルロースを使った再現性の確認
前回粉末セルロースによる糖化実験を行った結果、やや特徴のある結果が見られましたので、引き続き同じ条件で実験をすることで、再現性があるかどうかを確認してみることにしました。
学校としては午前中授業の期間となり、授業で研究に取り組むことができなくなりましたが、担当者は放課後に残って実験をおこなっています。自分たちで役割を分担し、効率よく作業を進めることができるようにもなってきました。
試薬セルロースで再検討 その2
試薬セルロースで再検討開始 その1
今回は前回の糖化率が低いことをふまえ、布5g溶液200mlに固定して、繊維そのものとセルロースを入れて糖化してみることと、酵素の量を変えてそれぞれどのような結果になるか、経過を見てみることにしました。
反応条件は以下のようにしてみました。
① | ② | ③ | ④ | ⑤ | ⑥ | ⑦ | ⑧ | |
セルロシン40
0.5g |
○ | ○ | ○ | ○ | ||||
セルロシン25
0.5g |
○ | ○ | ○ | ○ | ||||
エンチロン
0.5g |
○ | ○ | ○ | ○ | ||||
セルロース
粉 |
○ | ○ | ○ | ○ | ||||
セルロース
ファイバー |
○ | ○ | ○ | ○ |
現在、岡山理科大学、岡山大学、フジワラテクノアートに協力を求めています。
繊維の糖化をよりスムーズにおこなえるよう、様々な条件で実験していきベストな方法を探していきたいと思います。
スーパーエンバイロメントハイスクール研究開発事業発足会
6月20日(木) 16:00~ 会議室にて「スーパーエンバイロンメントハイスクール研究開発事業」発足会を行いました。
安藤校長先生の御挨拶で始まり、研究主任の野瀬先生の事業説明、質疑応答等、活発な意見が交わされ有意義な発足会となりました。
- 安藤校長挨拶
- 発足会の様子
- 野瀬研究主任の説明